2008年(20年)10月8日~10日
飯豊山は6月の残雪期と決めて登っていたセとナでした。
しかし・・・。
思い切って山小屋二泊で Go~。
一日目(10月8日)
自宅 3:00発
御沢登山口 7:55登山開始
剣が峰の紅葉
三国小屋を過ぎて七ツ森の紅葉
切合小屋15:30着
二日目(10月9日)
切合小屋3:40起床 5:25出発。
目指す大日岳へ。
飯豊山山頂
御西小屋手前は一変して草紅葉の黄金色、
先からはチングルマの赤に染まる。
帰りに弘法清水の水場で一息。
おいしかったぁ~。
セの記録
平成20年10月8日(水)~9日(木)~10日(金)
日の出 5:40 日の入 17:10
メンバー セとナ他3名
当初の予定では、4日登山口テント泊、5、6、7日で大日岳往復ということだった。しかし、天気情報が悪化していく中、一応スライドを決定、その後紅葉状況や仕事関係など全員が都合つけられる日などをも絡ませて、あまりスッキリしない天気情報だったが、少々の雨は覚悟の上でこの日に決定した。
第1日
川入登山口は既に雨が上がっていた。予想より早くラッキー。7時45分にキャンプ場を出発。中十五里辺りからはウルシを主体に色付き始め、登る程にその紅葉は増して時々明るい空間が現れる。そして肥った人は通れず帰るしかないという狭くて深い切り通しの道、通称「デブ帰し」も時々現れる。このルートの特徴だ。今回のメンバーは大丈夫、まだ余裕。隣の尾根もガスの中で紅葉しているようだった。勾配が緩むと笹平で、すぐに地蔵小屋跡。少し休憩して10時50分横峰出合通過。予定より早くみんな元気だ。周りはガスっていても、登山道は紅葉で明るく話声も明るい。
地元では地蔵清水とも言う峰秀水に着く。11時10分から45分までちょっと早い昼食。ここの水は何時でも冷たく生返るようだ。だが、そんな冷たい水で登山道で採って来たエノキタケを女性軍が洗ってくれた。みんなで食べるだけの量はあり、今夜の楽しみが一つ増えた。
辛かったここまでの登りを忘れさせるように、前面に紅葉が広がって行く。剣ヶ峰はガスっていたが行く程にガスは退き、幽玄の中に現れる岩稜とそれに張付く紅葉は、息を飲むような美しさだった。興奮して我を失う。今年、ガイドの研修での下山中にここで転落事故があったが、線香の燃え残りが無念さを訴えているようだった。見上げる三国岳の上に一時青空が覗いて喜んだが、すぐに元に戻った。
一先ず危険地帯を無事通過、13時20分三国小屋でほっと一息。ここまでは予定より大分早いペース。だが、みんなには余裕が滲んでいる。
七森もまた出し惜しみなく紅葉が続く。ガスこそあれ、それはまた霞んでいく紅葉が更に奥深い紅葉を想わせ、帰路に期待を抱かせる。途中雲行きが怪しくなり、雨が降出し慌ててカッパを着ける。だが、あまり長くは降らずに止んでくれた。
切合小屋着15時30分、七森区間はカッパの着脱などでペースダウンはしたものの、予定より1時間30分も早い。女性三人に夕食等の準備を頼み、石井さんと二人で水汲みに出掛ける。水場は切合から大日杉コース方面へ行き、御沢の支沢の源頭付近の流水となる。水場で冷したビールで先ず乾杯、楽しい夕食タイムの始まり。メニューは生麺のラーメンに採って来たキノコが入り、温泉タマゴ、茹でソーセージ、その他何種類も、生野菜まで、豪~華~。酒は諸ちゃんビール、石井さんのウイスキー。たかちゃんの焼酎は明日の夜のお楽しみとする。
我々の他の宿泊者は直上の二階に2名位、空身で本山を往復してきた5人パーティが離れた二階に、いや、5人パーティが分かれていたのかどうか判らないが、1階は我々のみで開放感いっぱい。5人は本山小屋で大日杉コースから登った染谷さん一行達と会い、本山小屋にいると言付けを頼まれたと言う。良い気分で、さー、石井さん、秋田音頭でも、と声が掛ると、下りて来た直上2階の男から、「静かにして、歌など歌わないで下さい」と声が掛る。
時計を見ると未だ5時25分、外も明るい。その言葉を尊重して飲みながら話していると、今度は二階の床を叩く音、威嚇していたのだろうか。雰囲気の良くない小屋に来てしまったものだと諦めるしかない。歌の件はしかたないとしても、以前は同泊者同志の団欒があった。この小屋が半営業小屋になって、簡単に山に入れるようになればやはり人種も変わってくるのだろう。未だ6時だというのに、もう物音もなく全く静まり返っていた。
第2日
3時40分起床。たかちゃん、諸ちゃん、彼女の三人でてきぱきと朝食の準備、何時もの雑炊がうまかった。夜は強風だったらしい。外はまだ弱い風が吹いていて、ガスって視界もあまりなく、寒そうなのでカッパを着けて小屋を出る。予定より少し遅い5時25分。
草履塚への登りは近くの紅黄葉が奇麗で、ガスがなければと惜しむ。草履塚からは植性が変わり高山植物が多くなってくるところだが、今はヒナウスユキソウやイワウメ、マツムシソウなどの咲き殻が見られるだけ。本来ならば大日岳などを見ながらの稜線歩きなのだが、周囲はガスの中で残念に思う。
でも、夕べの誰かの「石井さん、大丈夫?」とか、誰かの「キレ~イ~~」などの寝言に、ヘラヘラ笑いながら、それをエッチな話にまで脱線したり、全くにぎやかだね、この三人は・・、楽しい山旅。
独りぼっちの姥権現にみんなで挨拶をした。ここを過ぎると御秘所という岩稜だが、昨日の剣ヶ峰で慣れているし、右絶壁側によろめかなければ問題はない。そこから少し行くと御前坂の急登が待っている。ここはチングルマの真っ赤な紅葉に励まされながら、じっくり詰めていく。途中で夫婦とスライド、峰秀水でキノコを洗っているとき会話をした静岡の二人だ。二人は本山小屋でその話をしたら、それは染谷パーティだったらしく、私達の仲間だと言っていたという。二人と別れて更に詰め、やっと一ノ王子に着くとガスの中から染谷さん達が現れた。本山を往復して来たが何も見えなかったと言う。奥さんがまた来たいと言っていたのが救いだ。互いに気を付けての言葉を交わし反対方向へ別れる。
水場はよく出ていた。本山小屋に着いたのは7時45分、ここに汲んだ水と不要荷物をデポ。ここから飯豊山頂を越え、更に大日岳を目指す。8時5分に出発。8時20分から25分まで飯豊山頂は同じくガスの中、でも我々には帰りにもう一度チャンスがある。記念写真を撮っただけで通過した。
飯豊山頂から御西小屋までは広大な丘を行くような雰囲気なのだが、初めてのたかちゃんと諸ちゃんは何も判らない。しかし、時々明るくなるのを繰り返しながら、途中から徐々に視界が開けてくる。弘法清水を偵察に行き、豊富な水が湧いているのを確認した。夏場は雪の下で、それ以降の水場だという。広大な草原の中にマツムシソウとニッコウキスゲの咲き殻が多く、誰もその花期の素晴らしさを想う。向かう新潟方面の上空には青空も覗いた。
御西小屋は外トイレのみ使用出来る。水場を偵察に行きかけたが、遠いので引き返した。帰りに小屋に寄った時汲んで来た人がいたので問題ない。新潟側はガスが上り始め、主稜の奥に烏帽子岳が見え、それに続く山腹も紅葉していた。大日岳は新潟側の裾を残して、以前ガスに覆われている。
いよいよ大日岳へ向かう。下って行くと、紅葉した段々畑のチンゲルマの群生にみんなで感激、足が止まって進まない。真っ赤なナナカマドの実も新鮮な輝き。新潟側の展望が開けると、深い谷から紅葉した山腹と、山々を連ねる主稜の奥に北股岳が見えている。その奥は大日岳へ行けば見えるはずだと期待する。文平の池前後で大日岳や紅葉の牛首山やその奥の鋭鋒が、更に飯豊本山方面には実川から競り上がる紅葉の峰が、流れるガスの間に間に見え隠れ、素晴らしい以外何もない。見上げるような、立ちはだかるような大日岳、急登に取付く頃、山頂は再びガスに隠れ、その日とうとう姿を現すことはなかった。
11時20分、全員初めての山頂に立つ。感激~。だが周囲はガスが覆い、辛うじて西大日岳方面見えるのみ。風が少しあり、寒くなりそうなので昼食は御西小屋でということに決定、25分、早々に山頂を後にする。
12時40分御西小屋到着、アルファ米炊きおこわで昼食タイム。水汲みに行って来た50代らしき単独の男が戻ってきた。本山小屋に泊り、明日はダイグラ尾根を下ると言う。
13時丁度小屋を出発。時々ガスが流れているがほぼ見えている。広大な草原は馬の毛並みのようだと誰かが表現する。その奥の谷から立ち上るガスも、主尾根に競り上がる支尾根の紅葉を引き立て、更に山の奥深さを引き立てていいる。ここから見る草履塚と草履塚北峰も立派な山だ。一の王子から本山、小屋も見えた。足元には数ヵ所の残雪とその谷間の紅葉。それら山々のたおやかな大きさを初めて見たたかちゃんと諸ちゃん、もちろん私達にも大きな感動。
弘法清水で涌き出す水に休憩したりしながら、駒形山を越えて本山へ登り返す。14時25分、今日2度目の山頂を踏む。大日岳などの遠望はないものの、東側がガスに隠れたダイグラ尾根の宝珠山も見えている。
本山小屋着14時40分、予定より1時間45分も早い。みんな余力もあり切合小屋まで行こうと言う。それからデポ荷をパッキングして15時30分に本山小屋を出る。
行く時見えなかった紅葉をじっくり味わいながら、振返りながら、楽しみながら歩く。
目の覚めるような紅葉が至る所にあった。切合小屋着16時50分だった。
小屋の右奥には既に一人が就寝中、2、3人が寝袋に入って話をしていた。
右奥の2階にも5、6名いるようだった。私達は真ん中の誰もいない部屋を今夜の寝場所と決めた。再び豪華な夕食と、諸ちゃんのビールと、たかちゃんの焼酎。周りの人達との会話もあれば山小屋はもっと楽しいのだが、これもその時その時で仕方ない。けれどなんと充実した1日だったのだろう。
第3日
昨日の調子がよく切合小屋まで来ていたので、予定より30分遅い4時30に起床する。良い天気だった。星空と山からの御来光を初めて見たと喜ぶたかちゃん。諸ちゃんも見ただろうか。夕べ小屋に可愛い怪獣が騒いでいたとも言っていたが、眠れたのかどうか。私が外に出た時、既に陽があたった錦繍の山々がすっきり見えて輝くようだった。昨日見えなかった分、今日隅々まで見せてくれている。私達は全山紅葉の真っ只中にいるようだ。
6時5分、小屋を出て大日岳を眺め、みんなで水場に行き、水を補給して下山に掛る。
下山道も紅葉の連続、登った道だが今日は晴れている。赤も黄色も輝いて明るい。写真を撮りながら思う、二度と会えない紅葉かも知れないと。途中誰かが落ち葉の多いのに気付く。私も行く時の紅葉の方が盛りだったかも知れないと思っていた。前々日の夜の強風が影響したのかも知れない。僅か2日の間だったのに、紅葉は私達を置去りにして夢のように走り去って行く。
何時の間にか三国小屋に着いたという感じだ。8時丁度だった。15分ほどの休憩だったが、その僅かな間に上り始めていたガスが剣ヶ峰方面を覆ってしまった。
剣ヶ峰はそれでも素晴らしい紅葉を見せてくれた。痩せ尾根の岩稜と紅葉、振返りながら、もう何も言う事はない、十分楽しませてもらった。途中でカメラの予備ピースが何故か使えなかったのは残念だが、ここまで撮れて良かったと思う。
峰秀水で10分休憩、横峰通過10時丁度、すごく早いペースだ。それからも林の中の部分的な紅葉が奇麗だった。ウルシだのカエデ類である。途中はキノコを探しながら下る。
そして見つけるからすごい。ミネシメジとヒラタケをゲット。
最後にまた素晴らしい出来事が待っていた。後ろの山姉さん達が大きなミズナラの古木を見ながら、木の妖精が出て来そうだと言うので、私もなるほどと思い上を見ながら通り過ぎた。先ず根元に毒キノコを発見した人がいて、近寄ろうとすると、「あっ!、マイタケめっけ!」と彼女の声。見れば腰高くらいの所に小さなマイタケ。
採るな、見させてとみんなで近寄ろうとすると、また「うわ~」と足元を見ている。そこにはマイタケがボコ、ボコ、ボコ。なんという一日、マイタケ踊りで締めくくれるなんて。
どこかの部族を想わせる踊りだったけど、私達は皆、山にいる間は何時でも原住民になり切っているようなものだから、これもまたいい。
石井さんはスタスタと先に行き姿が見えなかったので、残念ながらこの感激に浸れなかった。分け前も辞退したので、4人で分けることになったが、飯豊連峰からの素晴らしい御土産となった。12時丁度、川入キャンプ場着。車に置いて行った友部さん差入れビールを沢で冷し、満面の笑みで乾杯したのは言うまでもない。
いいでの湯で3日間の垢を落とす。厚く積もっている分、出た後の爽やかさが何とも言えない。山姉達もちょっくら悩ましげな美女に変身。やばい、山姉に変身していたんだっけ。
私は湯船に足を入れて飛び上がった。左足の豆がつぶれて更に豆、しみるのなんのって。そのまま出て来るのは飲みかけたビールを置いて来るようなもので、左足だけ湯船の外に置いて浸って来た。その後食べたそばがまた格別で・・・。
飯豊はいい、やっぱりいい。イ~イ。・・・また来るね、飯豊。
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セとナさん、こんばんは。
��008年盛秋の飯豊山、素晴しい紅葉でしたね。
多分私も同じ時季に1泊2日で大日岳に登っていたはずなんですが、
天気が悪くて、寒くて、得るものは何もなかったと記憶してます。
今年の飯豊山の紅葉はどうでしょうね。
美しい紅葉を見せてもらい、また出かけたくなってしまいました。
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デイダラボッチさん、こんにちは。
もしかしたら私たちより少し前の日にのぼっていたのかな?
大日岳に到着してまもなくガスに覆われてしまい全容をじっくり見てないので又挑戦したいな。
二泊だと荷物が重くて、一泊だと体力がなくて・・・。
でも一泊で行ってきてしまうなんてやっぱり凄すぎます。
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こんにちは! 秋の飯豊いいですね。
一度川入からピストン(1泊)で行きましたが、 今度は縦走したいと思ってます。
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akitakenkenさん、こんにちは。
秋の飯豊は初めて行ったのですが本当に素晴らしかったです。
どこの山も縦走したいのですが、車で行くと往復か周回になってしまいます。
いつか飯豊を隅から隅まで歩きたいです。